大滝温泉-集落の地域構成-

1970年代の初頭の大滝温泉の概況を詳述してみた。現況調査は(2010年頃)はしていない。
現況と比較して、大滝温泉の変遷理解の一助となれば望外の幸せである。

集落の地域構成

大滝温泉は秋田県鹿角市の西北西12㎞、秋田県大館市の南東15㎞、米代川の河岸段丘上に立地した観光温泉集落である。
花輪線大滝温泉駅の北方、米代川に向かって1分程で、街村的な大滝温泉街の西の端に出る。
1970年代の初頭の温泉集落の地域構成は次図のごとくなっている。

大滝温泉神社

地図は元画像のまま、サイズを小さくしてしています。

大滝温泉神社昭和初期に既に開業していた旅館・貸席業は道路を境に、米代川沿いに立地して、廃湯問題に起因(後述する)する集落景観を物語っている。反対に、昭和30年以後に開業した旅館の多くは、集落の西の端、駅から川へ抜ける道の西側と道を境とする神社側に散在的に立地している。飲食風俗営業の店は温泉街の中央通りにそって、旅館業の多く建ち並ぶ反対側、それも神社から西の方へと密集している。共同浴場もその傾向にある。
温泉集落の後背地には水田利用が見られるが、後に指摘するように温泉集落(温泉利用者集団)は農業に依存していない。農業に見切りをつけて、温泉使用権入手と共に旅館業に転業した者もいる。従って、大滝温泉ではかなり早期に観光に依存する生計をたて、またその歴史的基盤を明瞭な地域構成に現わして今日に至ったと考えている。